住宅 ・ 建築と空間 ・ 建築家
THE BLUE WORKS
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本計画は地方都市の中心市街地近くの築40年のマンションの改修計画である。
経年劣化の修繕とともに、前時代的なプランの変更も必要であった。
本物件のような人口増加時代に作られているマンションは多数存在し、今後多くの空室が発生してくると予想される。それらをこれからの時代に活用していくにはどのような変更を施す必要があるのか、また、新たに増産されている新築マンションと比べてどのような価値を作っていくのかが課題となった。
当初は大きなワンルームとして計画を進めていた。
だが、計画中にCOVID-19により世界の状況が大きく変わり、路線を変更していくこととなった。
COVID-19の影響により、多くの企業及び個人事業主は感染リスクの低減や経費の削減のため、オフィス面積を減らし、自宅でのリモートワークへ移行した。
それにより、自宅には暮らすだけでなく、働くという機能も必要となった。
本計画では、空間を大きく二つに分割し、入り口側をクライアントとの打ち合わせも可能なパブリックなスペース、奥側を自宅としての安らぎの機能を有するプライペートなスペースとした、SOHO(Small Office Home Office)として利用できるプランとした。
仕上げは、新築のマンションにありがちなビニールクロス仕上げと差別化するため、既存のコンクリート躯体を現しとし、その他の素材は木材やスチールなど、生の素材で合わせることで、今までもこれからも年月なりの経年変化を味わえる設えとしている。それにより、一般的な不動産の評価軸にはなかった、長い時間を経た一点もののヴィンテージとしての価値を作り出していってくれることを期待している。