住宅 ・ 建築と空間 ・ 建築家
THE BLUE WORKS
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地方都市の歴史ある商店街の一角に建つ空き店舗の改修計画である。 郊外の大型店舗の開発、個人店主の高齢化及び後継不在による空き店舗の増加が目立つ地方商店街の空き店舗の新たな活用方法の模索が主題となった。
現代の日本における遊休不動産の活用は、増加する空き家問題に対する解決手段として最も必要とされていることかもしれない。 その時に入念に検討すべきことは、どのように改修するかだけでなく、どのように使い、どのように運営するのかということである。それにより建物自体の持続的な維持管理を行うことができると考えている。 建物半分、中身半分ということである。 本計画では、クライアントも以前抱えていた問題で、多くの人が飲食店や事業を起こすときに初期費用等が嵩み、はじめの一歩を踏み出すときのハードルが高いことにより、なかなか踏み出せずにいる人達が多くいるということに焦点を当て、初期費用を抑えて開業にチャレンジできる、飲食店のチャレンジショップとシェアオフィスを合わせた複合施設とし、飲食店舗1室、その他オフィス等12室+αを計画した。 資金については事業計画を突き詰め、人口の減少により将来的には当てにできない一時的な補助金に頼らず民間金融機関の借入によって実現している。 運営についても自社で行うためのスキームを作成し、維持管理費用を抑え、短期間での投資回収を目指している。 ファサードには独立を連想させるモニュメンタルな螺旋階段を、建物名のロゴにはアメリカ独立宣言の時に使用したとされるフォントをデザインの要素として採用している。 この建物からはじめの一歩を踏み出し、ここから巣立ったテナントが周辺の空き店舗へ移っていくことで周辺への波及効果を生み出すことを願っている。